2004-01-01から1年間の記事一覧

絵巻の絵の具の原料は?

岩石を砕いて粉状にしたさまざまな色の顔料を、膠に溶かしたものを使います。 詳しくは下記のサイトをご参照のこと。 http://www.ne.jp/asahi/aoyagi/sky/dublin2.htm

絵巻が何故分割されてしまったか

以前お見せした鳥獣戯画のビデオでも説明がありましたが、一枚のロール紙のような長い紙に絵や詞書を描いていくのではなく、紙を何枚も継ぎ接ぎしたものに描いていくわけです。糊は100年ぐらい経つと接着力を失ってしまうということですので(ビデオで説明が…

伴大納言絵巻の謎

お見せしたビデオでは、出光美術館の黒田泰三氏が絵巻の謎解きをしていましたが、もう一人の黒田こと、東京大学史料編纂所の黒田日出男氏は『謎解き 伴大納言絵巻』(isbn:4096262218)(小学館)という御著書でご自身の推論を展開しています。この本は推理小…

扇の骨から見ること

これに関しては網野善彦氏のとても有名な論文がありますので、来週補足のプリントをお配りしますね。災いから身を守るというだけではなく、 とくに注目しなくてはならないのは、これらの事例がほぼ共通して、大道や河原、寺院や道場の周辺など、いわば「公界…

伴大納言絵巻

もっと絵巻を見てみたいという声が若干ありましたので、図書館で検索したところ、以下の本がヒットしました。関心がある方はチェックしてみて下さい。ちなみに、中巻・下巻には詞書があり、これはほとんど『宇治拾遺物語』の内容と変わりません。 岩波写真文…

メールが届かなかった人も、そうでない人も

来週の概論の授業では、皆さんに私の成績(授業評価のアンケート)をつけていただかなくてはいけません。アンケート用紙配布から回収までに最低でも10分ぐらいはかかってしまうでしょう。おまけに、配るべきプリントもこの間より多くなっています。これを一…

画中詞の例

京都大学付属図書館蔵『雁の草子』を例にとってみてみましょう。 http://ddb.libnet.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k131/image/01/k131s0001.html 『雁の草子』の概要と特徴は上記のUrlで確認できます。さてここで見ていただきたいのは http://ddb.libnet.kul…

異時同図法

ある一つの場所で物語が展開される場合、当然の事ながら、同じ場所を何度も描く必要性が出てきます。ですが、何度も何度も同じ場所を描いていると、どうしても画面がくどくなってしまいますね。これを解消するための技法が異時同図法。『信貴山縁起絵巻』「…

こんなサイトも発見

http://www.alles.or.jp/~aura/books/jungle/hill.html 風景写真に米俵の絵をコラボレイト。なんだかシュールですね。

ついでにこちらも

http://www.linkclub.or.jp/~qingxia/cpaint/nihon11.html 美術史のまとめ的なサイトですが、四大絵巻についての言及もありますのでご一読を。プリントアウトしておくと便利かも?

これはお役立ちかも

http://www.angel.ne.jp/~panda/diary/99/10/sigisan.html 1999年にサントリーホールで行われた「国宝信貴山縁起絵巻展・記念シンポジウム」(上記の展示とタイアップしたシンポジウムであったようですが、残念ながら私は未見。展示は見に行ったのだけど)の…

白黒じゃなくてカラーです

『信貴山縁起絵巻』のビデオの画像が荒かったせいで、あれがカラーであることに気付かなかった人が多かったようですね。申し訳ない。サントリー美術館のサイトに一部載っていますので、とりあえずUrlを貼っておきます。こちらでご確認下さいね。 http://www.…

『鳥獣戯画』の動物たち

兎・猿などが何を意味しているのか、擬人化された動物たちと家畜のままの動物たちがいるのは何故かなども今回多かった質問ですが、これについては五味文彦氏のなかなか示唆的な考察がありますので、次回にそれをコピーしてお配りしましょう。私がうだうだ説…

というわけで

書名/著編者 = 日本絵巻大成(6)/小松茂美/編 各巻書名 = 鳥獣人物戯画/小松茂美,上野憲示/執筆 書名(カナ) = ニホン エマキ タイセイ 著編者(ヨミ) = 小松 茂美(コマツ, シゲミ) 出版事項 = 東京 : 中央公論社 <図書館目白> ID番号 = 1130…

残念っ!

といっても波田陽区ではありません。 東京国立博物館の平常展で、つい一週間ほど前まで『鳥獣戯画』甲巻の展示をしていたことが判明しました。 http://www.tnm.go.jp/jp/exhibition/regular/one_year.html もっと早く気が付けば、皆さんにも実物を見るチャン…

画中詞って何?

そういう質問もありました。これは来週プリントを配るつもりでいたのですが、たまたま『鳥獣戯画』で検索をしていたらこんなお遊びのページを発見。http://www.soretama.com/poo32.htm urlを貼っておきますのでご覧あそばせ。ここで兎や蛙にセリフをつけてい…

『鳥獣戯画』の全貌を知りたい!

そんな貴女。レプリカは甲・乙・丙・丁の全巻が出ているのです。 こちらのページhttp://www.shinise.ne.jp/options/shinise/pa_goods.asp?temp_id=2452&shp=104では通販もやっています。 私は東京国立博物館地下のミュージアムショップで数年前、甲巻だけと…

歌語り・歌物語と「けり」

『大和物語』第一五〇段 昔、ならの帝につかうまつる采女ありけり。顏容貌いみじうきよらにて、人々よばひ、殿上人などもよばひけれど、あはざりけり。そのあはぬ心は、帝をかぎりなくめでたき物になむ思たてまつりける。帝召してけり。さて後又も召さざりけ…

目加田さくを氏による『平仲物語』現代語訳

もう一度ゆっくり読んで欲しいという声が多数ありましたので、こちらにアップしておきます。 第二十三段 この同じ男の所に、国経の大納言の所から、ちょっとしたことを仰せつけられたので、男が返事を申し上げるというので、美しい菊の花を折ってそれに手紙…

ヲトメヅカは実在する

これもお配りしたプリントに載っていますが、一応こちらでもご説明。神戸市東部には海岸線に沿って西から西求女塚・処女塚・東求女塚古墳という三つの古墳がそれぞれ2kmの間隔で並んでいます。この三つの古墳は万葉の時代には既に誰の墓だかわからなくなって…

声に出して読みたい万葉歌

私がわざわざ 5.7/5.7/5.7/・・・と区切って読んでいたことに気が付いた人は手を挙げて(笑)。日本文学史Iを履修している人はご存じでしょうが、万葉歌は五七調がベースですので、うっかり 5/7.5/7.5/7.5/・・・と七五調で読んでしまわないようにご注意を。

三角関係は永遠不変のテーマ?

『大和物語』のウナイオトメや『万葉集』のママノテゴナの話がずいぶん皆さんのツボだったようで、ちょっと驚いています。別に狙ったわけではなかったので。でも、ああいう話が昔から語り継がれてきたということは、人間の下世話な三面記事的好奇心は、時を…

歌が先か、絵が先か?

歌絵は和歌の心を絵に描いたものですので、歌が先。これに対して屏風歌は屏風に描かれた情景を和歌に詠むものですから、絵が先。ごく大雑把にいえばそういう関係になるでしょう。歌絵は歌なしでも(たとえば「扇の草子」の扇絵だけで示されても)、その元ネ…

屏風歌

屏風歌の演技性に興味を持って下さった人も少なからずいるようで、嬉しく思います。そればかりでなく、紀貫之が屏風歌の名手であったことと彼が『土佐日記』を書いたこととの関連性を指摘してくれた人もいたので、非常に感心しました。 残念ながら平安時代の…

きりぎりすとこおろぎ

DVDの中で白石さんが「昔はきりぎりすのことをこほろぎ、こおろぎのことをきりぎりすと申しておりました」と草子地風にコメントしていましたが、あれは本当のことです。この際ですので覚えておきましょう。

絵が描けないことは恥ずかしい?

当時の物語や和歌の詞書などから推測するに、平安時代の貴族の教養は歌・書・絵だったといえるでしょう。当意即妙に歌が詠め、水茎の跡麗しく、しかも絵心がある。これがモテるための必須条件だといってもいい(笑)。たとえば、『源氏物語』の「末摘花」に…

おまけ

2002年に草月ホールで上演された「第一夜・六条御息所」の観劇レビューを発見しました。URLを貼っておきますので、興味のある方はお読みになってみて下さい。 http://www1.ocn.ne.jp/~nijyo/look/shiraishi.htm

お気に召しましたか

面白かったという感想が多くて良かったです。続きを見たいという声もあるようですね。授業をまるまるつぶすのはどうかなと思って途中で切ったのですが、皆さんのご要望が強いならば考えなくもありませんので、希望者は「鑑賞希望」のメールを下さい。それに…

平成16年度「東京古典会古典籍展観大入札会」

が下記の通り催されます。本来は古書店業者の入札のために開催されている会ですが、私たちのような一見さんにも展観ができるようになっています。ナマの古典籍を見るまたとないチャンスですので、ご用とお急ぎでない方はお茶の水へ足を運ばれることをオスス…

そしてQ&A

中世には盲人が多かったのか 予測できたことではありますが、これが一番多かった質問。確かに、医療が発達しておらず栄養状態も良くない時代ですので、今とは比較にならないほど疾病や障害を抱えた人が多かったであろうことは想像に難くありません。それと同…