異時同図法

ある一つの場所で物語が展開される場合、当然の事ながら、同じ場所を何度も描く必要性が出てきます。ですが、何度も何度も同じ場所を描いていると、どうしても画面がくどくなってしまいますね。これを解消するための技法が異時同図法。『信貴山縁起絵巻』「尼公巻」でも出てきましたが、一つの背景(たとえば東大寺の大仏殿)の中に同一人物を何度も描くという手法です。この場面の画像をネット上で見つけたのでUrlを貼っておきます。
http://www.town.heguri.nara.jp/gazou/sigiengi_5L.jpg
大きな大仏に対して、5カ所に登場する尼君の小ささといったら。今のマンガでもこういうコマの使い方をすることってありますよね(笑)。ともあれ、絵巻の鑑賞者はこの登場人物の動きを追って物語を読み取っていきます。次週の『伴大納言絵詞』でもこの異時同図法が効果的に用いられている場面がありますので、またそこで説明いたしましょう。